野菜ジュースや果汁ジュースのパッケージなどで「濃縮還元(のうしゅくかんげん)」という文字を見かける事があります。
では、濃縮還元とはいったいどういう事なのか?
そして、そのメリットとデメリットについて解説します。
濃縮還元とは
濃縮還元とはジュースを製造する時に、野菜や果物を搾った液体を濃縮(容量を少なく)して、その後還元(元に戻す)という製造方法になります。
製造工程で言うと下記のようになります。
- 野菜や果物などの素材となる食材を搾ってジュースにします。
- ジュースの水分を熱などで蒸発させて容量を小さく(濃縮状態)にします。熱を加えて殺菌させて密閉容器に入れる事で長期間の保存が出来るようになります。
- 濃縮された容器を違う場所にあるジュース製造工場へ運びます。
- ジュース製造工場で、密閉容器内の液体に濃縮時に蒸発させた同じ量の水分を加える事で、搾った時と同じ濃度のジュースに戻します。
濃縮還元という製造方法は、文字のままの意味のようですね。
海外や地方で栽培された野菜や果物などを船などで日本へ運んでくる時にとても便利な方法なので、いろいろなジュースで利用されている製造方法となっています。
ストレートジュースというのもありますが、こちらは濃縮していない搾ったままの状態のジュースですが、長期保存する為に一度熱を加えて殺菌しているので、濃縮還元したジュースと栄養成分はあまり変わらないと言われていますよ。
濃縮還元のメリット
濃縮還元でジュースを製造するメリットは、材料費が安くなり、運送費用も安くなるのでジュースの販売単価も安くする事ができる事ですね。
野菜や果物の材料費
同じ月日でも世界各国で気温が違っているので旬の野菜や果物は違っています。その為、1年中、食材を集める事が可能となっています。
旬の野菜は栄養価も高い上に、大量に収穫できる時期は価格も安くなるというメリットがあります。
それらの低価格の食材を購入して製造するので、1本あたりのジュースの単価を安い価格で販売提供することが出来るようですね。
運送費
ジュースを製造する企業からすると、最大のメリットは運送費が大幅に削減できる事ですね。
野菜や果物を濃縮した時の容量の変化を図にしました。
野菜や果物を搾ってジュースにする場合、食材によって比率が違いますが、ニンジンなどは重さの半分程度のジュースを搾る事ができます。
搾ったジュースを容器に入れて、水分を蒸発させて濃縮すると約5分の1程度の容量になり、元の野菜や果物の丸い形状の面積だけで比べると、10分の1の面積になっています。
濃縮することで、かなり少ないスペースで運搬する事ができるようになりましたね。
これを、運送する容器で置き換えてみるととっても理解しやすくなりますよ。
野菜や果物そのままの形状で運搬する時は、隙間などがあるので上の図の運送用の箱では12個運ぶ事ができますが、濃縮した液体状にした場合は、同じ大きさの箱で12倍の量を運ぶ事が可能になります。
濃縮して運ぶと運送費は12分の1になるので、とても経費が削減されますね。
濃縮還元のデメリット
濃縮還元のジュースは熱を加えて製造しているので、熱に強い栄養成分は残っているのですが、ビタミンやカロテノイド・ポリフェノール・酵素など熱に弱い栄養素は残念ながら失われてしまいます。
又、濃縮する事で果物などの香りも減少しています。
野菜や果物など残留農薬が付着したままジュースに加工されている可能性もありますね。
酸素に触れて酸化する事で失ってしまう栄養成分もあるので、健康の事を第一に考えている方は無農薬の野菜をスロージューサーなどの器具を使用してジュースにして、酸化する前に早めに飲む事が最適のようですね。
まとめ
濃縮還元とは、野菜や果物などをジュースにする時の製造方法のひとつになります。
- 海外など現地で栽培された食材を搾ってジュースにします。
- 加熱殺菌で水分を蒸発させて容量を少なくします。
- 日本へ運搬します。(運搬コスト削減)
- 蒸発させた水分を加えて元の濃度のジュースに戻します。
失われる栄養成分や香りなどはありますが、大幅なコスト削減で低価格で購入することが出来るメリットがありますね。
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